第2編 物質の変化

第1章 物質と化学変化

1化学変化 
2化学反応式

 

 化学変化

【化学変化】

 水に熱を加えると水蒸気に変化するまた,水に電気を流すと水素と酸素に変化す  る。これらはどちらも「変化」であるが,同じ種類の変化ではない。①と②の変化の違いが分かるようにそれぞれの反応を考えてみよう。

 

① 水が水蒸気に変化  液体から気体への変化で,H2Oであることには変わりがない。

② 水が水素と酸素に変化  H2OH2O2になる変化で,水が別の物質に変化している。

 

 ①のように状態や形が変化して,物質そのものが変化しない場合,この変化を〔 状態変化 〕または〔 物理変化 〕という。一方,②のように物質が別の物質に変化する場合,この変化を〔 化学変化 〕という。

 

★ 水の場合,熱と電気でちがいが出ただけで,熱だから状態変化,電気だから化学変化というわけではない。

例題 次の中から化学変化であるものをすべて選べ。

 ① 鉄のかたまりをたたくと広がる。  ② 植物に光を当てると光合成をする。

③ 食塩水に電気を流すと塩素が発生する。 ④ ドライアイスを水に入れると消える。  ⑤ 砂糖を水に溶解する。 

⑥ 有機物を加熱すると焦げる。 ⑦ 硝酸カリウムの飽和溶液を冷やすと結晶が析出する。 

⑧ 鉄を放置するとさびる。

 

②,③,⑥,⑧

 ① 形が変わっても鉄  ② 水と二酸化炭素から酸素とデンプンになる。

 ③ 塩化ナトリウムと水が塩素と水酸化ナトリウムになる。

 ④ 固体のCO2から気体のCO2へ変わる。CO2であることは変わらない。 

⑤ 砂糖が溶けるだけで,砂糖であることは変わらない。  ⑥ 有機物が炭素と水になる。 

 ⑦ 溶けていた硝酸カリウムが結晶の硝酸カリウムとして出てくる。硝酸カリウムであることは変わらない。

 ⑧ 鉄が酸化鉄になる。

 

【分解と化合】

 H2Oに電気を流すと水素H2と酸素O2に変化する。また,水素H2と酸素O2を混ぜ点火すると水H2Oに変化する

 ①のように1種類の物質が2種類以上の物質に変化するような化学変化を〔 分解 〕という。逆に,②のように2種類以上の物質から1種類の物質に変化するような化学変化を〔 化合 〕という。(左下図)

 

【物質はどこまで分解できるか】

 過酸化水素H2O2は,加熱するか二酸化マンガンを加えると分解して,水H2Oと酸素O2になる。さらに水は電気を流すと水素H2と酸素O2に分解する。(右上図)

 分解される物質と分解されない物質は,それぞれどんな特徴があるか考えてみよう。

分解する物質 H2O2H2Oのような2種類以上の元素からできている化合物である。

 分解しない物質 H2O2のような1種類の元素からできている単体である。